
高野山の卓上カレンダー
おはようございます。
空海さまには数々の不思議なお話がありますね。
高野山の霊域に足を踏み入れるのに渡る御廟橋があります。
今回の記事では、その下を流れる玉川にまつわる不思議なお話について記載しています。
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御廟橋(ごびょうばし)から霊域に
高野山の御廟橋を渡ると霊域に入ります。
御廟橋の「廟」の意味は、死者の霊を祀る場所 ということです。
この橋の手前で服装を正し、一礼をして渡ります。
気持ちを引き締めて御廟橋を渡りましょう。
この御廟橋の板は36枚あり裏には仏様を表す文字(梵字)が刻まれています。
川の底を覗いてみてください。
運が良ければ、刻まれた梵字が川底にハッキリ映し出されているのが見えます。
これは金剛界の37尊を表していると言われています。
ここで1枚足らないと思われるかもしれませんが、橋板全体を一枚と捉えて37枚としているためです。
梵字に興味を持たれましたら、あなたを守護してくださる仏様と梵字そして呪文(じゅもん)の記事をこちらに記載しています。
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御廟橋の下には玉川
この御廟橋の下を流れる川は玉川と呼ばれ、奥の院裏山の霊峰楊柳山(れいほうようりゅうさん)より流れ来る清流です。
玉川の中に卒塔婆(そとうば) が建てられています。
これは水難事故や難産で命を落とした人々の命を水で清め追善供養をするために建てられています。
川の中の卒塔婆を見ていると少し寂しい気持ちになります。
ここから先は霊域のため写真を撮ることが出来ませんので、あなたの目で見てきてくださいね。
玉川にまつわる話。
弘法大師空海さまが山を開かれるために山内を回っておられた時の事です。
今の玉川のほとりで一人の男が小魚を捕っているのを見かけました。
男は小魚を串に刺し、焚き火で焼いて食べようとしていました。
これを見た空海さまが男に声をかけました。
「何をしておられるのだ」
「とった魚を食うんだよ」
空海さまは男にその魚を私に売って欲しいと頼みました。
男はこの老人がお腹を空かしているのかと思ったので「まあ、構わないよ。 別の魚をまた取ればいいだけだし~」
そう言うと男は、串に刺したその魚を空海さまに差し出しました。
魚を受け取った空海さまは、魚から串を引き抜き玉川の清流へと放しました。
男は「エッ!なんてことをするのだ」
男はびっくり仰天!!
その様子をしばらく見ていると、空海さまは口の中で何やら真言を唱えました。
すると、なんということでしょう。
不思議なことに、串に貫かれて死んでいたはずの魚はすいすいと玉川を泳ぎ姿を消しました。
「なんてことだ」驚いた男は声をあげました。
空海さまは何も言いませんでしたが、男は自分の愚かさに気が付きました。
空海さまの前に跪(ひざまず)きました 。
「小さくとも命は命。それをいくらでも奪っていいなどと」
男の目からはとめどなく涙が流れ続けました。
男は殺生を悔い改め魚を取ることをやめたそうです。
それからのち、男は空海さまを心からお慕いし、弟子となりました。
玉川を覗くと、背中に斑点のある魚の泳ぐ姿を見ることが出来ます。
その斑点はこの時の串の跡だと伝えられています。
高野山に行かれたら、斑点のある魚を探してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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